夫婦まじしゃん 
服部 剛

父親の圧迫骨折が悪化して 
日々の介護の不安に 
瞳を曇らせたまま 
嫁さんが布団に入った深夜に 

密かな寝息をたてはじめた寝顔を 
そっとみつめて、心配事の全てを
癒してあげたいと思いながら 
僕は頬杖をついている 

夢の世界の扉に入り 
童心で遊び始める嫁さんに 
いつものように、囁きかける 

きっと全ての物事は 
ちょっとずらした視点で見れば 
歪な姿も、変化する 

夫婦になった僕等に 
日々与えられる様々な出来事 
という贈りものを 
四つの両手で包み 
一つの呪文を、唱えよう 

いつかテレビで見た 
シルクハットから鳩を羽ばたかせる 
あのマジシャンのように 








自由詩 夫婦まじしゃん  Copyright 服部 剛 2011-05-14 23:47:32
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