スロウダウン
霜天

夕暮れの後の雨はどこも優しい
平静な音が響いて
空間が深まっていく、窓の外
思い返すほどに
心落ち着いていく


世界は円になっている
そんな
額面通りにはいかないらしい
言葉が繰り返されて
絵は何度も描き直されて
白い空が
塗り替えられていく
どこでも、どこまでも

久しぶりに冷蔵庫を開けると
中では世界が作り替えられていた
記憶をひとつ、引きずり出してみても
どこも、ひとつ、当てはまろうとしない
どこかでモーターの音
それもどこかへ去っていって
平静、深まっていく
冷蔵庫の中でも


静まり返った夕暮れの後
落ち着いた呼吸を繰り返して
届きますように
こんな世界でも
変化していく全てでも
雨の後の静寂は
どこでも、どこまでも

星がひとつ回って
世界が少し傾いて
夕暮れが作り替えていく
速度
僕等はまたひとつ
取り残されそうになりながら


自由詩 スロウダウン Copyright 霜天 2004-11-09 18:00:17
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