発酵
佐藤真夏


陽の溜まる部屋で
私たちはボタンのとれたシャツのように笑う
まいにち
洗濯をして
汚いってどんな色か確かめる
互いの背中に腕を回して
肩の下から腰の上までぎゅうと絞れば
背骨をつたう
乳精だらけのヨーグルトが
つんと匂った

低血糖に目を回しながら
私たちはボタンのとれたシャツのように泣いた
発酵したさみしさを
舐め取る舌の
付け根を
どこに植えても根腐れしないように
まいにち
起立して
しわを伸ばすように笑う



自由詩 発酵 Copyright 佐藤真夏 2011-04-08 20:18:26
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