夢の核心 
服部 剛

磯辺の岩に立ち、風に吹かれていた。 
僕の幻が、波上に輝く道を歩いていった。 
浜辺に坐る妻はじっと、目を細めていた。 

岩の上に立つ僕と 
海の上を往く僕は  
激しい春風に揺さぶられながら 
ふたつの魂は引きあい 
互いを結ぶ密かな長い糸の 
結び目は 
ぎゅっと、締まる。 

水平線の彼方に 
僕の幻が姿を消す頃 
振り返り 
潮騒の声援を背に受けて 
岩間を快活にもまたいで、僕は戻ってゆく 
自然の糸に巻かれるように 
遠くに小さく微笑む妻の許へ 

背後の空から 
この世界を照らす太陽のように 
燦燦さんさんと輝きを増す 
(夢の核心)を 
波打つ胸に抱きながら 








自由詩 夢の核心  Copyright 服部 剛 2011-03-24 21:36:34
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