ゆぐむ
ゆうと


椅子が揺れてる
じつに不安定な
音に沈む
いつの間にここにきたの
ぼくの居場所なのに不思議だね
他人行儀に笑ってる

夢をなくしたの
誰がこわしたの
うらまないで うらまないで
目隠ししているのは一体誰の手

どうして、
その先でぼくは口をつぐんだ
つつしまなければいけない
オブラートが時と共に溶けてゆく

  ( どうして
      その手でぼくをすくってくれなかったの、 )

目がさめると悪夢ばかり見るんだ
ぼくをのみこんだまま
凝り固まった赤いゼリー
あなたの発明は冴えていて
あなたの決断は冴えていたよ
有罪のあなたは無罪になり
無罪のぼくは有罪になった
無実は事実になり
そして真実になった

ぼくをだましたんだ
これはあやまりだと何度言っても聞く耳をもたなかった
子どもの声は大人に届かない
あきらめたら忘れられるかい
ちがうだろう、


この行き場のない罪は
誰が背負ってゆくんだろう

ああ、きみか
きみなんだ
ほんとうに、


ごめんね
ぼくを許してね
あのひとの代わりに
ぼくを責めてね

つつんでいたオブラートが
アルミニウムに変わる
ぼくをのみこんだまま
凝り固まった青いゼリー

今日も空は明るい




自由詩 ゆぐむ Copyright ゆうと 2011-03-19 20:56:20
notebook Home 戻る  過去 未来