乳 首 立 つ
松岡宮

体温計と乳首立つ
緊急地震速報の音鳴る部屋の
微熱の沼で乳首立つ
日は傾いて18時
夜闇のトレンチコートが降る
くちびるの感触がくちびるに降る
窓を震わせる拍動を聞く
あなたはだれですか
すがたはみえません
ただ その 気配だけが 
水に落とした紺色になって拡がってゆく
とても大きなあなたの肩幅が
とても大きなあなたの右手が
沸騰したミルクパンを持って 
たくさん開いたわたしの穴にとろとろとろとろ注ぎに来る
熱い
熱い
我慢できない
乳首立つ
噛んでください
乳首立つ
舐めてください
乳首立つ
お願いします
乳首立つ
抱いてください
息を吐く
汗が流れてまた金縛り
あなたはだれですか
緊急地震速報の音鳴る部屋のいちばん低いところで
わたしの目から鼻から口から
お湯がこぼれる
ミルクこぼれる
胃液がこぼれる
ひみつがこぼれる
棒でつついた風船ゆるんでおへそのあたりに沸点がある
はだかの背中をたった一枚くるんだコートはもうびしょびしょで
いけないことだ
わるいことだ
こんなに濡らして
乳首立つ
まだ足りないのか
乳首立つ
眠りにつけば また金縛り
夜闇のトレンチコートが降る
くちびるの感触がくちびるに降る
あなたはだれですか
熱の出た日のこめかみのあたり
いつも そっと やってくる
あなたはだれですか


自由詩 乳 首 立 つ Copyright 松岡宮 2011-03-15 20:35:53
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