ダブルスタッカート
馬野ミキ

どっちなんだろう

俺はわからないと友達に言いたい

携帯電話のメールで『ぜんぜんわからない』とメールでスカイメールでせかいの全員に返信

メールでスカイメールで、全員に。せかいに。

大の大人が「わからない」、と



わからないよ、

なぜ俺の他の人間には生活や現実があるのか

なぜ太陽は俺が数えている31年間毎日例外なしに昇るのに

一日18時間昇り続けるようなことはないのか

燃えながら宇宙を回転している既知外がなんて規則正しいんだろう!雲の流れは?、

図書館の本をぱらまかす

欲しい一行がどこにも書いていない

なんてこったい!

責任感のある司書が悲しそうな顔をしているのでぼくも悲しい。



放課後に僕のことを好きだという詩人の卵に会いに言って何も言わずに抱きしめたら彼女泣いてしまった

なんてことをしたんだろう

それから彼女はもう二度と詩を書かなくなった

「ミキさんは詩がもっと広まればいいとか言ってるけれどミキさんのせいでみんな詩をやめていく」と人に言われた

傷口のない両手から血だ

東口のロータリーで。



「わからない」とかメール送らないでくれる?

って何故俺が知っている時にはみなも知っていて

俺がわからなくなると皆もわからないと言い出すのかそれが不思議でならない

小さな頃森下公園で今から星を見つけに行くときに

ご飯の時間だという理由で家に帰ってしまうクラスメイトが一体何をしに公園にきたのかがわからない。

小学生のくせにご飯とか何考えているんだろう?




なぜ、君と僕は違うの

「さわらせて」

『いやだ』

なぜ?




おととい携帯の機種変をした

占い機能がついてたので

ロフトにこもってシーツを被って占いをやり続けた

占っている人間が俺より本当に頭がよいのかということがいつも不安になるという理由により

いつでも携帯を捨てる心構えを持っておきたい



つまり俺は詩人だ

スーツを着て革靴を履いて用事はないけれど大久保を歩いている




俺はプロだ

革靴でアスファルトを踏みしめるたびにその一連目が延々と繰り返される

俺はプロ

アマじゃない

俺はプロなんだ

俺はプロだ

譲れない

俺はプロだ

プロ

プロ

プル

プロ、プロだ!



韓国人マッサージ呼び込み嬢曰く『でも一体何のプロなの?』

知るかボケッ!

俺はプロだ!

一体とか何という概念なんて糞くらえなんだよ!


未詩・独白 ダブルスタッカート Copyright 馬野ミキ 2004-11-04 02:47:40
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