色の無いエビ
Seia


落とされた 水の中に落とされた
炭酸水に落としたストローみたいに
体に付着した泡が昇っていく

キラキラと輝く水面に
青白い手が見えた

一匹だけ はぐれた回遊魚が迷い
かろうじて海だとわかる程度で
何故ここにいるのかはわからなくて


木の葉のような船底が
うつらうつらしている

ただ 息をしなくても
苦しくない事がわかった



だんだんと 命の数が減る変わりに
タイムマシンで時代を遡って見たような
不思議で奇妙な命が増えていく

いつまでも 底が見えない
終わりはくるのだろうか

今になり 思い出した事がある
ここに居るのは私が望んだ事で
あの時見えた手は
それを頼んだ人だという事


マリンスノーの吹雪を越え
たどり着いた 海の底

かつて足だったものを
色の無いエビがつまんでいた


そろそろ 空へ帰るべきだろうか



自由詩 色の無いエビ Copyright Seia 2011-02-03 15:24:07
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