夫婦の灯 
服部 剛

語り部は講堂内の明かりを全て、消した。 
百人の聴衆は、暗闇の一点に揺れる机上 
の灯を、観つめていた。(どんなに深い闇 
にさえ、この蝋燭の灯は負けないのです。) 
ぽっかり二つ空いていた席に腰を下ろして
いた夫婦は手をとりあい、彼の言葉を胸に
納めた後、講堂の外に瞬く星々は賛歌を奏
で、門を出た夫婦は、日常の足元に蒔かれ 
た宝の種を探す、旅を始めた。 








自由詩 夫婦の灯  Copyright 服部 剛 2011-01-06 00:03:35
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