点描癖
岡部淳太郎

破線をだまして
進んでいく
なおもそれを記して
立ち止まりながら
何度も歩き直してきた歴史を反芻する
そうやって忘れてきたのだ
そうやって自らの
泥を隅に追いやっては
何もなかったような顔で
口を開いてきたのだ
いまや冬
当たり前に寒さはしみ入り
この身を内側から震え上がらせる
曇り空の下に伸びる
枯れ枝の中で
すこやかな病の間を転々とし
始めるたびに
終えるたびに
慣れない手つきで
描いてきた
電波が断続的に人に押しつけられ
笑いながら人は
穴のように丸く
氷柱のように鋭くなっていく
またしても忘れて
意味のない始まりを
体験していると
その寒さの中で人々が口々に

  ――おめでとう、、、
  ――おめでとう、、、

と言い合う声が
聞こえてくる
そういえば年が明けたのだったなと思って
その声を自らへの皮肉のように抱えこみ
もう一度私は
新しい病へと入っていく
こうして区切るたびに
背後を置き去りにして
純真なふりをしてきた
そしてそのたびに受けた罰に
身に覚えがないかのようにふるまっては
滲んでくる水の冷たさに
手を赤く染めてきたのだ

  ――おめでとう、、、
  ――おめでとう、、、

懲りない出発を祝って
喪失の声が響く
それが私であり
それが人であったのだ、



(二〇一一年一月)


自由詩 点描癖 Copyright 岡部淳太郎 2011-01-05 18:08:19縦
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