ふぉとぐらふぃっく (ご利用は計画的に)
乾 加津也

写真とは
干乾びた
製造工場の正門の
錆びたポストに居つく手紙の重さで
天を劈く煙突の
かたちを得たけむりが笑っているようなもの
めくれば
白い鍵穴もかすむ季節に
「どこにもいけない」気配だけくらくらしている




太陽はふぇいます
IF島をきまぐれに照らすホッピングロード
亜熱帯気分でどんなものにも若葉色を塗りたくるので
分身(じぶん)も分身と思わない
なぜ 始めは整列し
なぜ 終わりは垂れ流しなのか
つかめない

 しゅうしゅう雨しゅう・・・
 しゅうしゅう緑しゅう・・・
 しゅうしゅう暦しゅう・・・

(完璧なしんぼらいず)
太陽が写真に身投げした日
しののめが菜の花ばたけを焼け野原にし
顔中心のおきてが立ちあがったせいか

「太陽のようなあなたから」
わたしは一匹の蟻の黒い啓示をうけ
採光場でひろった遺物を
ひっかけて引きずってわたしの部屋まで運びいれ
また新しい匂い
奮起し
澱を浚いながら
あやしい現像(分身)を楽しむ暮らしぶりそれが狂気
のすたるらしい

写真は息をもどす口蓋をもたず
もの憂げな素材もないのに どこかで
わたしの小指をしっかりにぎり
きしむきおく
注油でまだまだ使える刻限(うつろい)ですから
反りかえって
無くしたちくちくを暴く

痛みがあれば
生きていける
うそ(仮想)でも生きる
気になれる

問題は 透過した それが だれ




製造工場は
賞味期限の溢れかえった食物たちの
四角連鎖がまるくはじまり
ブラックホールのように自壊したという
写真の記事を握りしめ
立ち尽くしてもふぉとぐらふぃっく



自由詩 ふぉとぐらふぃっく (ご利用は計画的に) Copyright 乾 加津也 2011-01-04 15:54:33
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