秋の回旋塔
こしごえ


即興演奏の融合した空がこのからだで倍音を
発する。満月の銀の弦が冷たく光る。
目を瞑った先に見える映日果が上映される
夕べに伝言する蝙蝠の光子は
舞台裏で旋回し観客には映らない。いつも
遊園地ではのっぺらぼうの笑顔が撮影
されてしまう。理由は誰にも解らないが、写
真機だけは知っている影の行方。素通りする
蟻の行列
翅を失った夜へと
猫の瞳は
新月を
む かえる
昨日も亡き朝に、昇る産声を
連峰の胎は切り そろ えた。朝焼けが、
空へ沈むあかあかと。
そして空はみずみずしい青を孕む
限りある砂時計の接点で落ち合う
真砂は抱き合い風は演奏を再開する
岸はひとすじの雲へ湾曲してばかり
さかのぼる魚は群れをなし
四季の獣はさまよいはしる
(私は無言の眩暈にさらされる)。真っすぐ
円をかく
宙を、ささえむすぶ骨は枯れて土にかえる
、白い縁の窓を。

みずからをまわしまわり続ける私は、
道すがらふし目がちにうつむいて、天高く
天高し(深呼吸すると青く澄み近づいた
貴方と出あえたことを一生忘れません
木の実は
よく実り
生きものに食べられ
種を落とし
いずれ
空へと
水性の華も めぐります











自由詩 秋の回旋塔 Copyright こしごえ 2011-01-01 06:08:52縦
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