going down
アオゾラ誤爆

光が運ばれている。

進行方向の反対側から、ふつふつと泡のように
ほどけて流れてくるものがあった。あれが街灯。
ひとびとは円く集い、なくした星のかたちを思
い出そうとしている。(それはあくまで作業で、
宿題とおんなじでただ鉛筆をすべらせていれば
よかったのに、)ロボットのように在れない。
あきらめのつかない二択が、すべてのひとのは
らわたにひっかかっている。

毛皮をはいでゆくような罪の意識があるけれど、
美しい宇宙の片鱗をおもえばよかった。血脈が
みえないのに流れの普遍性を知っていたのは、
どうしてだったかな。すうこう。教科書には書
いてなかったこと、きみがかくしていた日記に
はきちんと載っていたね。僕は淘汰されん日を
待ちたい。なにか神聖なものの一部なんだ。こ
んなにも不確かなのに確かに鳴っている孤島。
僕は(すべての僕もそうするように、)吸う。

ホームには半透明の人間がころがっている。微
生物のように拡大しないとみえないものなのに、
どうしてもと僕が言ったから膨らんでくれたん
だろうか。きたなく笑ってくれたんだろうか。
箱はもう長いこと停車している。

「落しものは、ない。」

たかいところから低いところへ、丁寧にのばし
ていく手のひらのかたち。覚えたばかりの記号
ですべてをつくってしまったのは誰。ゲームに
飽きてジュースをこぼすと、また夜はひろがっ
ていく。合図はきみに聞こえたかな。ここには、
何億もの世界がある。主観に依存している、切
れかけの電球みたいな現象の、渦なのに。


自由詩 going down Copyright アオゾラ誤爆 2010-12-21 01:07:40
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