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KETIPA

転がると死にます
死がこわいなら転がりません立ちます
座るのでもよいでしょう
はいそこの彼は転がったので死です
死んだら転がります
つまり大体転がりました

鮭の切り身をむしゃむしゃやりつつ見て
子鹿が死んでいます
きわめてデジタルに分解されて
数ピクセルの画素として輪廻転生
ウェブサービスに生まれ変わります
切り身は鮭ではなく肉なので輪廻しません

ポテチや塩を大量に取り込んだ細胞があります
屋久杉位の大きさですが単細胞です
転がらないので死にません
面の皮より厚い細胞壁が もはやあれは金属です
不死身なのはこの細胞だけでしょう

微生物は土に転がっていたので全部死にました
ぎりぎり立っていたクモはセーフです
散らされた子グモは今や二本足で通勤など
ノルマが悩みの種だそうです
いっぱい転がって死んでいるので生きることは容易です
一番うまい脳だけ吸ってあとは贅沢にも残します
満員電車は苦痛だそうです

どろどろと流動する細胞に観光団が来ました
無論クモです
誰一人触りもしません 満腹だからです
緑色の粒などがひとつひとつ目となっていて
目一つあたりにクモ一匹が当てられています
おもむろに糸など吐くクモら
的は緑色に光っており全員簡単に命中させたのでした
細胞とクモがハイパーリンクした瞬間です
またクモらは近傍のクモらと相互接続して
かつてのクモの巣のごとき様相を呈したのであり
波及的に拡大する網状のシステムができたのです
どんなに遠くにいるクモにも一瞬で信号がきました
二重三重と電線のような黒光りする糸が
張り巡らされて はいそこに十万ボルトです
雷の避雷針のようなものですね
衝撃音がクモらを散らして蒸発させました
細胞壁はひび割れて破片がクモらにいちいち刺さりました
ふにゃとグミのようになった細胞は
ぽたりと転がって死にました
繋がっていたクモらも残らず転がって死にました
絶えました


自由詩 webbed Copyright KETIPA 2010-12-18 00:15:47
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