スランプ
細川ゆかり

それじゃあたしはどうしたらいいんだ
なんてぐるぐると渦巻いて

好きと嫌いでは世界に線引き出来ないのよ
と、境界線が、笑った。

私の指先や唇からは
何か
とてつもないものがあふれ出して
天も地もひっくりかえすのだと
思ってた
それが幻想だなんて野暮なこと
わかってた

アルコールで漬け込んだ脳みそからは
ろくなものが生まれやしないと
それでも
奇跡なんて安易なものを期待しながら
キーの上を指先が踊る
ペンを握る勇気がないから

明日の朝日をどううたおうかと
思いめぐらし夜が明ける
それを
幾度なくも繰り返しては
まだ
あふれ出しているのだと


現実はどこ
かみさまが笑った
様な気がした
それをつづった
それで終わった

だったらわたしはどうしたらいいんだと
外側に放り投げて
その実、しっかりと握りしめて
だから羽ばたけないんだよと
笑った

誰?
それを見据えながら
なんてふりをしながら
だったらわたしはどうしたらいいんだと
いまを誰かのせいにした

それじゃあ飛び越えられないのよ
、と、境界線が、笑った。


自由詩 スランプ Copyright 細川ゆかり 2010-12-07 00:45:18
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