ボルカ氏の散歩
アラガイs


ある日70メートル離れて後を付いてゆく 。
ボルカ氏の散歩は奇妙だが目的地はちゃんとわかっているつもりだ 。

ゴチャゴチャした秋葉原の街。ぐるぐるとまるで空っ風のように旋毛曲がりに通り抜けると、彼は遊園地のメリーゴーランドで二百五十円のソフトクリームを買った 。

ぐわん〜ぐわん〜が波のようなうねり。薄いピンクをひらひらさせて、少女の白い両足はリズミカルな凹凸に跳ねている。木馬は髭を生やしたおかしな竜の顔。ピンクの少女は、その背腹をまぶしい両足でしっかりはさみこむと、しなやかな長い髪を天空になびかせて愉快に喘いでいた 。。
鼻先に付いたソフトクリームを気にもせず、べちゃくちゃと舌で舐めながら彼はじっとそれを眺めている 。。
公園の柘植の脇から密かに見つめるわたしには、一向に気づいてはいない様子だ 。。

汗をかいたので少し喉が渇いてきた。
回転木馬の近くにある自動販売機にアイスコーヒーを買いに行く。
見つからないように、ゆっくりと慎重に、人混みに紛れて‥‥アレ!アレ?缶コーヒーを手に戻ってみると、彼の姿はもう そこにはなかった 。

ボルカ氏の行動はまったく奇妙なので、 たまに後から付いて行ってみるのだが、 いつも何処かで 見失ってしまう 。
それでも、目的地はちゃんとわかっているのだが‥。








自由詩 ボルカ氏の散歩 Copyright アラガイs 2010-11-24 04:01:53
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