割愛
佐藤真夏


かくかくしかじかで
魚の骨が喉に刺さっているからどうにかならないかなって食卓を挟んで彼が言う。
かくかくしかじかで
多分どうにもならないんじゃないかなって私は箸を口に運びながら、そんなことよりも
かくかくしかじかで
あなたが好きだから結婚しましょうと言う。
それなら
かくかくしかじかで
お金が必要だけど、どうにかならないかなって左手でお椀を持ちながら彼が言う。
かくかくしかじかで
多分どうにもならないんじゃないかなって私は箸を持ち直して、そんなことよりも
かくかくしかじかのせいで
夕飯がおいしくなくなるから早く食べようと言う。
それならかくかくしかじかを止めたいんだけど、どうにかならないかなって魚を口に運びながら彼が言う。
かくかくしかじかで
わたしたちには時間が足りていないからどうにもならないんじゃないかなって私はお茶を注ぎながら、そんなことよりも
かくかくしかじかで
結婚しましょうよと言う。




自由詩 割愛 Copyright 佐藤真夏 2010-11-09 18:54:58縦
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