たぶん、悲劇的
瀬崎 虎彦

青空から遠い場所からあなたをみつめている
垂直に光が差すときには世界は希望に満ちる
そのわずかな時間だけ僕は人生を謳歌する
引き伸ばしても何にもならない人生かも知れない

覚悟が必要だ よりよい人生を歩むために
僕はそう声に出して自分に言い聞かせる
世界中のカラスの羽を集めたよりも黒く
湿っている世界で生きるための覚悟が必要だ

光が差すときには手紙を書いてみる
インクは足元のにごった泥水でいい
出すあてのない手紙なのであて先はない

壁に指を這わせながらいつまでも
ハルカに遠い青空を眺めている
夕方ごろ 鼓笛隊のパレードが聴こえた


自由詩 たぶん、悲劇的 Copyright 瀬崎 虎彦 2010-10-21 21:41:07
notebook Home 戻る