ゆうと



きみは、完璧すぎた。
だからきみは死をはかった。
きみは、完璧すぎた。
いらないものなどなかったし、ほしいものだってなかった。
きみは、完璧すぎた。
穴を掘り穴を掘り穴を掘りつづけても、出てこなかった。
きみは、完璧すぎた。
とちくるったダンスがとくいで、それはそれはうつくしかった。
きみは、完璧すぎた。
だからぼくには必要不可欠で、だからみんなこぼれていった。
きみは、完璧すぎた。
きれいをふりまいて、それだけのことで、みんなその気になって、ひとりのこらずころしてゆく。
さいごは自分もころすといっていたけれど。
ぼくはそんなことを知るよちもなく、何番目かのこいびとになり、おろかに死をまつことになった。
みんな地獄へゆく。きみが降ってくるのを待ってる。
ばかばかしくおもえてくるかい。
みんなみんなそうじゃないのかい。
いつかは死ぬことになるし、それをわかったつもりで、真っ暗闇のなか、希望がみたいんじゃないのかい。
生きるってそういうことじゃないの。
きみは、完璧すぎたから、きっとそれをしらない。
そしていつまでも死なない。
きみは、完璧すぎたから、いらなかった。いらなかったんだよ。
だからまっさきにきみが死んだんだ。
地獄で待ってるね、なんてわらって。
ぼくを地獄へ突き落とすように。
ぼくがころすまえにきみはしんだんだ。





自由詩Copyright ゆうと 2010-09-22 02:57:53
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