佐野元春のTHE CIRCLEを久しぶりに聞いてみたっ!
番田 

なんとなく、通りがかりの店でこのアルバムを手にしたのは、恐らくは中学生頃のことではなかったかと思う。あの頃はCDレンタル屋で本当に色々な歌手のアルバムを聴きあさっていたものだった。佐野元春の曲を聴いたのはこのアルバムが初めてであったが、情景を想起させる歌詞に強く感動を覚えた記憶がある。あの頃人気だった歌手の名前を一人一人思い浮かべると、このような歌詞を書くことができた彼は、やはり希少な存在なのかもしれないと思う。今回紹介しようとしている、このザ・サークルというアルバムに収められた「君を連れて行く」という曲は、ファンの間ではかなり知られている曲である。またこの曲は、ヒートウェイブ、というバンドにいる山口という歌手にもカバーされている。ヒートウェイブはその名を聞いたときには全く知らないバンドだったが、小林武志氏の所属するバンクバンドのカバーしている「東京シティーヒエラルキー」でその存在を知ることができた。しかし、単純に店に行ったとしてもこのバンドのアルバムを手にすることは難しい。その辺の店頭には全く無いからである。この曲で歌われている内容としては、仕事や恋などに破れてしまったかのような人が、もう一度それらをやり直そうとしているといった内容である。単純でありふれたテーマではあるが、明るめの曲調が暗くなりがちになる雰囲気を実にあっけらかんとした情景の曲に展開させている。


話は変わるが昨今HMVなどの大型店舗が続々と倒産しているとニュースでは報道されている。近所に、CDショップと呼べる店自体もあまり見かけなくなってきた。東京の渋谷の店舗でさえ店を畳んでしまうわけなので、関西方面ではもっと減少が進んでいるように思えた。CDというもの自体のメディアの流通量が減っていることが挙げられるし、子供自体の人数が減少してきていることからも見て取ることができる。CDや、歌謡曲といったものを今後はどういった客層に対して売っていくべきなのかというところで立ち止まされてしまう。しかしながら、最近のスーパー、あるいはコンビニなどで流されている曲といったものを聴き流そうとしていると、昔のヒット曲のカバーがほとんどになってきているのがなんとなくわかる。新人の顔や声を知ってもらう時はそういったやり方の方が、簡単で手っ取り早いからであろう。そこで佐野元春自身の曲に立ち返ってみると、リズムさえつかめば誰でもくちずさむことができるメロディーが身上である。上の方の年代の方にも知れている曲も多いので、このアルバムを含め、もっと多くの曲がいろいろな人にカバーされてきてもいいのかもしれない。


散文(批評随筆小説等) 佐野元春のTHE CIRCLEを久しぶりに聞いてみたっ! Copyright 番田  2010-09-21 02:59:51
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