恐竜は鳥になってしまった
佐々宝砂

恐竜は鳥になってしまった
大空を羽ばたくかわりに
偉大さをなくした

朝 にわとりが声をあげる
恐竜の飛べない子孫が
景気よく声をあげる

より大きなものを知るためには
偉大であってはいけない
一番であってはならない

にわとりに餌を投げながら
にわとりが得たものについて考える
にわとりが失ったものについて考える

恐竜の足跡が
庭に記されてゆく

あれは
ジュラ紀だったか
シルル紀だったか

思い出せないはずはない
わたしにも血は流れているのだ


自由詩 恐竜は鳥になってしまった Copyright 佐々宝砂 2010-09-03 06:28:39
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