圧縮詩 13〜15
しろう




「渦を巻いてみせろよ」


しじまというよりしじみの合間に退屈が席巻する
それはまるで石鹸のように泡立って
老廃物に似た哀しみを界面活性化させても
太平洋に渦潮が巻くわけじゃない
銀杏はすべて裸になってしまったが
この退屈な冬を越えたいだけなのさ
つむじ風に
渦を巻いてみせろよ


光陰







「おひさま」


柔らかさの霞んだ薄青に

こっぽり

と浮かんでいる
マリーゴールドの豊潤
卵の黄身の濃密
カーブミラーに似た顔
いつだってやさしいものから
ミルクを零していくから
呼ばなきゃ
名を
レッドチェダーが
夕張メロンが
透明に燃えている
まる
あれは


おひさま







「素敵にしてやる」


冬なら寒けくこそあらめ

俺の関節のギアから
油が冷気で固まり落ちて
ギィギィと音を鳴らす

おまえが深海で酸素が足りないと嘆くなら
空の底のひだまりで名を呼ぶ

この心臓にちょいと喝を入れれば
肺胞が生み出す空気で
おまえを素敵にしてやる

寒い

だから










自由詩 圧縮詩 13〜15 Copyright しろう 2010-07-09 00:28:10
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