半袖のかいだんです
KETIPA

スロープが設置され
単離された感情が乗って行くスロープ
サングラスが監視する目を伏せ
切り刻む風景を随時放り込む

横縞の観覧車が上下に回転する
警笛がしずかに
きわめて静かに鳴っていく
ここは海浜公園
自意識のかけらがコースターにのって回る
残された娯楽の痕跡です

全自動のそれに紙を通す
それの中に紙が通される
紙を通して出口から出す
ただそれだけのためのそれも
現役で稼働中
うすっぺらのそれは枯れた紙を何度も吸い込んで吐く


嘔吐メイションさなかのこちら――


背中には旅客機
雲のチリが一々引っかかり積もる
廃スクラップ工場には今日も長蛇の列
自主的にこれは鉄になるんです
翼があるもの飛んでくる

サングラスが監視する目を盗み
布ごと駆け込んだその いぶつ
四つの眼が捕捉したあと録音テープが再生される


「半.袖は:.駄;目です,。」


ただちにそれがなかったことになり
分解過程に入る

あとはスロープに残渣ごとのせる
干乾びた眼球がこびりついたとなりに
滴るわずかな水酸化物
腐食するもの もの


シャツだけはその後粗雑に始末された


自由詩 半袖のかいだんです Copyright KETIPA 2010-05-26 00:44:24
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