書物の家
因子

わけいってもわけいっても古い本


この家の主はすべての本に番号をつけて
それが災害でぐちゃぐちゃになってしまってからというもの
番号通りに並べなおすことにのこりの人生を費やすつもりでいる

わたしは彼に見つからないよう
並べなおされた本たちを、こっそり再びぐちゃぐちゃにする


わたしは開かれることのない書物に囲まれ
ひとりの人間の生きる目的をつくっている


夕方5時にわたしは帰る
古い家と、古い本から
家の主はわたしにありがとうと言って
新しいきれいなお金をくれる


自由詩 書物の家 Copyright 因子 2010-05-20 10:38:36
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