そして恐怖の中で私は祈った
初代ドリンク嬢

食べることに興味がなかった
何もかもがどうでもよかった
自分に何かができるとも思わなかった
仲間がいるわけでもなかった

ただ
逃げ出すことばかりを考えていた

そんな私が妊娠した
結婚はどっちでもよかった
けれど
子供は生みたかった
これ以上
罪を背負うのはいやだった

愛おしかった
おなかにできた小さな命が愛おしかった

けれど、私は寂しかった
どうかどうか
この寂しさが子供に伝わらないように祈った

怖かった
生まれた命が
成長して暗い深遠に取り囲まれて
やがて死へと向かっていくことが怖くてたまらなかった
私のように
いつも逃げることを考えて生きていくことは
耐えられなかった
逃げずに闘って折れてしまうことは
もっと怖かった

何も考えずに
必死で生きていく人になってほしいと祈った
ただただ、幸せだと思える人生を送ってほしいと祈った

私は
今も祈り続けている
3人の子供のために

私は
もう逃げられなくなった
そして約束した
「お母さんより先には絶対に死なないで」

私は
多分一生恐怖の中で祈り続ける


未詩・独白 そして恐怖の中で私は祈った Copyright 初代ドリンク嬢 2004-09-29 23:30:57
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