誰もいない公園には
中原 那由多



ジャングルジムでの遊び方を忘れたのは
威勢が良いだけの雄叫びが、もう通用しなくなったからで
不安定な足場で怪我するくらいなら
帰り道でつまずく方がカッコいいと思っていた
汚れを知らない白いスニーカーがないように
嘘をつかないで大人になる人はきっといない

だからあの日以来、ここへ来るつもりはなかった


逆上がりが出来るようになってから
何もかもが上手くいくような気がしていた
気の向いたままに鉄棒にぶら下がり
逆さまに見た雑草たちはもう
自分の未来を知っているのに
僕は尻餅をついている


埃っぽい部屋に隠してある
ガラクタという名の宝物
捨てれば前へ進めるのか
執着すれば後れをとるのか
揺れたままでは頭が痛く
古いブランコからはなかなか降りられそうにない


流れに身を任せることで気持ちよく
刃向かうこともまた同じ
滑り台はいつものように雄大で
この地球の営みのことを誰かに伝える為に
流線型は太陽熱を白くして待っている


誰もいない公園には
埋めた覚えのないタイムカプセルが眠っていて

小学生の下校時刻
誰もいない公園は夢から覚めた


携帯写真+詩 誰もいない公園には Copyright 中原 那由多 2010-02-20 21:36:01
notebook Home