胡桃(改訂
あおば


                        100219



シーオーツーの企みに
誘い出されるキリンの群れに
なにげなく忍び寄るトラの背に
金色の鳳凰が目を覚まし
気高い朝の顔を繕う傍らに
2匹の紛いウミガメが
さめざめと泣くのが見える

今を鮮明に証拠立てる小さなため息の足跡が
うっすらと積もる雪を溶かすのか
声高にハイブリットカーの未熟を暴き立てるのか
テレビニュースの検閲を
4秒間で完了する石頭
胡桃割り人形が
デジタルの映像の殻を割る

金メダルを録画中に時間切れ
ハードディスクの容量不足に耐えかねて
嫌悪して叩きたくなるが
故障するだけで
事態の改善は望めない
のんびりと
静観するだけで
誰も気にしないのが分かっているから
壊れたら
修理代が高いから
データーが消えてしまうから
手を挙げる振りをして
チャンネルを変える

生きている限り
胡桃を割るのが
おまえたち
哺乳類の仕事だと
ハシボソカラスが
エイヤッーと大空から落っことす
胡桃の殻の砕ける音が
水利権を失い
無用の長物化した
発電ダムから聞こえてくるような
寒くて 寒くて
エアコンに縋るだけの
怠惰な2月


自由詩 胡桃(改訂 Copyright あおば 2010-02-19 22:45:46縦
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