胡桃
あおば

                        100218




オキシダント濃度の悲哀を
感じないのがキリン
鳳凰の次に現れたキムジが
朝の顔を繕う傍らには
2匹の紛いウミガメが
さめざめと泣くのが
今を
鮮やかに
鮮明に
証拠立てていると
小さなため息の足跡が
うっすらと積もった雪を溶かして
ハイブリットカーの欠陥を暴き立てるのか
テレビニュースの編集を
4秒間で済ましてしまうのが
胡桃割り人形の役目だと
オリンピックの録画を早回ししながら
ハードディスクの不便な習性を
嫌悪して叩きたくなるが
故障しても
誰も気にしないのが分かっているから
修理代が高いから
データーが消えてしまうから
手を挙げる振りをして
チャンネルを変える
生きている限り
胡桃を割るのが
哺乳類の宿命だと
鴉が、
鷹揚に落とす
胡桃の弾ける音が
水利権を失って
無用の長物化した
発電ダムから聞こえてくるような
寒くて
エアコンに縋るだけの
怠惰な2月









「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作。


自由詩 胡桃 Copyright あおば 2010-02-18 01:23:19
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