ぼくたちの失敗
あおば

               100211

  


弾かれた音速の脅威を
忘れたかのように
滑走路から飛び立つのが
習慣となった
石油が無いから
空気を燃料にして
今日はその成果を試すのだ
元気良く飛び出したパイロット
ケロシンをがぶ飲みするエンジンが
今、始動した
巨大なプロジェクトが開始されて
空は買い占められて
自由な空気が少なくなって
人々は困っている
暴動が始まっても
空気が足りないので
すぐに鎮圧されて
世の中は平和のように穏やかになり
日はいつものようになにごともなく揚がり
夕方には赤い顔を輝かし
黙って下りてゆくが
見守る人は居なくなり
つまらなくなったのか
このごろは雨が降る日が増えた
空気合成燃料には水分は不要なので
酸素と水素と少しの窒素が必要で
その他の成分は不要なのだ
不要な成分は
有効に活用しようとはしないで放置するのが
しきたりとか
成文化していないので
確かめようもないのがノウハウで
歴史家は無視するので
都合がよいと思われていて
空気の買い占めは
留まるところがない




「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作。タイトルは、はゆさん。


自由詩 ぼくたちの失敗 Copyright あおば 2010-02-11 23:03:37
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