冬と無
木立 悟







火と灯を巡る灯
闇の円
夜に水に
くくられた径


風とまぶしさ
互いに散り
冬の橋へ
ふりまかれてゆく


なぞり やがて
切り取られ 沈む
空の水に
水の空に


擦り減らす縁
冬の歪み
握りしめていた音を放す
原へ 原へ 去ってゆく


白と黒の虹をかき分け
誰もいないひとつの道の
ひとつの訳を踏みしめながら
夜を昇る音を見上げる


還り降る色
昼から午後への岩と壁たち
かつて呑み干した光の硬さを
忘れてしまった喉に触れる


水と同じ影の岩
雪まじりの息を吐き
失くなりかけたふちどりの
冷たさを冷たさに重ねゆく


箱のなかに消える民
緑の音 金の音
こぼれ落ちる言葉の面を
何もないまぶしさは巡りつづける


























自由詩 冬と無 Copyright 木立 悟 2010-02-04 17:45:25
notebook Home 戻る