もしもこの世に言葉がなければ
不可思議/wonderboy

もしもこの世に言葉がなければ
もしもこの世に言葉がなければ
もしもこの世に言葉がなければ
なければなければなければなければ

誰も傷つけず何も押し付けず
定義もなければ解釈すらなく
何よりこんなに悩まなかったでしょう
悩む術がないのですから
ですから僕はこうしてここで
言葉などというつたないツールで
つまり塩素まみれの汚いプールで
溺れて見せましょう
詩の朗読やラップが一番
大切じゃなくなったその時には
ごめんなさいと謝りますから…
かすかな可能性として僕が
明日から声が出なくなったとして
果たしてそれを悔やむでしょうか
言葉なんて信用してないのに
都会の森で見えない檻で
ひそやかに暮らしていくだけならば
誰も傷つけず誰もだまさず
生きていけるのではないのでしょうか

おそらく僕は今まで人より
多くの言葉を吐いてきましたが
一体それが何だったでしょう
知ったふりをした無形の産物
詩の朗読やラップが一番
大切じゃなくなる時がきっと
来るでしょうなぜなら今でも一番
大切かどうかわからない でも

もしもこの世に言葉がなければ
もしもこの世に言葉がなければ
もしもこの世に言葉がなければ
なければなければなければなければ
あなたに逢うことができたでしょうか
あなたにあの日、口づけたでしょうか
世界に散らばるどんな遺跡より
六十億分の一の奇跡
もしもこの世に言葉がなければ
もしもこの世に言葉がなければ
あの日の夕日や風景、驚き
感動、共有できたでしょうか

独りで部屋で泣きじゃくる僕に
あなたから一本の電話がかかる…




自由詩 もしもこの世に言葉がなければ Copyright 不可思議/wonderboy 2010-01-28 19:06:02縦
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