芦田川にて
吉岡ペペロ
歴史的なエピソードにこと欠かないこの地で
芦田川について語られることはあまりない
芦田川の河口はもちろん海とまじりあうのだが
見つめていると
この川が本質的には海であることがよくわかる
芦田川は海の青さを有している
海の青さはふところの太さのあらわれである
対岸がはっきりと見えるほどの川幅ではあるが
この川のふところの太さは格別だ
人生は川旅のようなものだ
人生は何をかに向かってながれている
そのながれの中で
小舟を櫓でこぎゆく私たちは旅人だ
この川を見つめていると
そんなことをどうしても考えてしまうのである