戯れ戯れの戯れの巻き
あおば

                  100118


野薪と変換されて驚いた

薪は天から降ってこないので
燃料店から購う
デフレの今日でも
薪は高い
安かったことなんかあるものか
流通が
農民の労働を買いたたき
消費者である私からぼったくる
安くたくさん売るのではなくて
お金のある人に
高く売って
儲けを多くする
農民には
売れないからもっと安くしろとふて腐れる
私には
薪を作ることが出来ないから
燃料店の言い値で買うしかないのを見透かしているのだ

寒くなって
家の中から火の気が消えて
風邪をひきそうだ
卵酒を作りたいが
卵が無い
酒も無い
飯でも食いたいと
米びつを開けると
19年産米が
5キログラム寝転がっている
給料を貰っていた頃
買いためて置いたのだ
2年の前の米だからと
お金持ちならば捨てる
せめて精米し直したいが
この辺りには精米機は無い
お米屋さんに持参して
お願いしようと思ったが
お米屋さんは廃業して
今では整体のお店になっている
安く買えたのは
その時だったと
記憶力の失せたのに呆れる

薪が無い
燃料店にはあるかも知れないが
薪は高い
高くてとても買えない

薪代が高いと
雑木林に忍び込み
枯れ枝を拾う
不在地主が
どこで見張っているかは
分からない
地元の誰かに
管理を委託しているのだろうと
背中にヒヤリとしたものを感じながら
忙しい時間帯を過ごす
入会権のない者には
不在地主の雑木林に忍び込み
枯れ枝を盗むのだ
それが良いこととは思えないが
枯れ枝という使い易い燃料が土になる前に
救い出すのだと
盗人の理屈を唱え
薄暗い時間帯を過ごす
台所の隅に積み上げて
竈に火を点ける
枯れ枝は火保ちが悪いから
目を離すわけにはいかない
飯を炊きあげて
燠火で汁を温める


自由詩 戯れ戯れの戯れの巻き Copyright あおば 2010-01-19 10:31:00
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