始まりの獣、鵺
ユダ

彼は走り続けます

遠く、遠く
どこまでも、どこまでも


馬鹿な猫と呼ばれた彼は

遠く逃げる様に


“黄昏ノ君を探して”





遠い昔、昔、昔

貴女は私に謂いました



弱い、弱い
ちっぽけな貴方が

この理不尽な世界を

深く呪うのなら

壊したいと乞うのならば



私を尋ねなさい



黄昏の中に在る

私を強く呼びなさい





そう言って
貴女は最後に



でも
そんな日が

ずっとずっと

来ない事を

深く、深く

願うわ



そう笑って

夜の深い闇に
溶けて逝きました






だけど

だから

だから


彼は“今”深く、深く

叫び

彼女を呼び続けます







“黄昏の中”で




自由詩 始まりの獣、鵺 Copyright ユダ 2010-01-08 15:03:16
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