火星に生命がいた可能性
瑠王



僕が林檎をかじっているこの世界は
銀色の象の胃袋の中にあって
銀色の象が星を喰う世界は
英語を話す蛇の海馬のあたりに浮かんでる

英語を話す蛇が
日本語を解読しようとする世界は
すべてが凍った星の
イルカの化石の中に辛うじてあって
イルカの化石のあるすべてが凍った星の世界は
実は彼女の家の冷蔵庫の中にある

彼女の家の冷蔵庫のあるこの世界は
今度は走る亀の甲羅の中にあって
走る亀達がペレストロイカという革命を起こした世界は
6120億年の間、割れたことのない風船の中にあって
6120億年の間、割れたことのない風船を持った少女の世界では
3年前から雷が鳴りやまないでいる
その天変地異は
彼の着ている紺色のセーターの中にその世界があって
彼のセーターが静電気を起こしてしまっていることが原因であって
神の怒りでもなんでもなかった

そんな何も知らない彼がいるこの世界は
今度は銀色の象の象牙でできたピアノのミとファの鍵盤の隙間にあって
銀色の象の象牙でできたピアノを弾く老人は
戦争で多くの命を奪ったことを後悔して過ごしている

そんな彼の弾く銀色の象の象牙でできたピアノは
火星の地表から約150m下の空洞にひっそりと設置されているのです

いつか僕らは見つけてしまうかもしれないけど
知らないままの方がいい
だって、じゃないとばれちゃうでしょう
僕が林檎をかじっているのが


そんなことより、
かじった林檎は何処に消えちゃったんだろう




携帯写真+詩 火星に生命がいた可能性 Copyright 瑠王 2009-12-04 18:05:01
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