散恋休
あおば

                 091121


怪獣ブームが去って
本物の恐竜が期待を込めて登場する
骨だけでも好いけど
足跡も欲しいと
原始人も考えて
恐竜の後を追い
卵を盗んだり
仔竜を拐かしたり
酷いことをしただろう
腐肉を喰らった我らの祖先の動物たちは
逃げるのに忙しく
食べるのに忙しくて
恋をする間も無かったと
ご近所のご隠居さんは
見てきたようなことを言いながら
だぶだぶの服を身に纏い
ポケットに手を入れて
手品のように
兎を取りだした
足下に置くと兎は温和しく蹲る
1羽2羽とつぎつぎと蹲り
部屋の中は兎で一杯になる
手品なのだから
何処かに隠して
隠しておいたのを
此処に置いただけなのに
数が増えると
驚いてしまう
連休と言うだけで
驚いてしまう
3連休と言われると
身体の自由もきかなくなって
頭を垂れて
蹲りたくなる






「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作、タイトルは、流川透明さん


自由詩 散恋休 Copyright あおば 2009-11-24 21:58:19
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