誰も教えてくれなかったから
高柳ハシコ

私がまだ両親と同じベッドで寝ていた頃
私は自分から眠ることができなかった

眠るためには目を閉じなければいけない
私は目を閉じることができなかった

ぱっちりと目を開けて、豆電球のオレンジ色の点を見つめて
ぎゅっと目をすぼめて、豆電球のオレンジ色を振り切って

眠ろう、眠ろう、

――しわ寄せた眉間の辺りが疲れてきたので目を開く

右側から母さんの寝息
左側から父さんの寝息

どうやったら、そんな風に楽に目を閉じていられるんだろうか
どうやったら、そんな風に楽に眠れるんだろうか、

――あれ、朝が来たんだ

わたしは、どうやって目を閉じて眠ってたんだろう


自由詩 誰も教えてくれなかったから Copyright 高柳ハシコ 2009-10-03 20:18:31
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