神の振らないサイコロを人は振る
ブライアン

メガネをかけた、小さな年老いた首相は、辞職を宣言する。
彼に炊かれたフラッシュは、孤立を強いる。

「我々」は「君」と「僕」に無限に分割される。
かつて、「我々」と、語った唯一の宇宙は、拡散を続ける。

始まりには終わりがある。

拡散し続ける宇宙は、かつて、の唯一の宇宙を夢見る。
そして、その力を闇に隠している。
「君」と「僕」は、拡散の終わり、から再び、かつて、の「我々」に戻ろうとする。

神は意味のないことはしない。
始まりがあれば、終わりがあるのだ。

「君」とは違うのだよ、と言ったメガネをかけた男は、
フラッシュの光に照らされていた。自らの放った「君」が、
自分に降りかかる。
「私」は一つに点でしかない。とても小さな点だ。

彼は「我々」を放棄した。

to be, not to be

男は、一つの決断で知る。
神はサイコロを振らないこと。
首相の称号が与えられた時に気が付くべきだった。
もしも、がこの世にあればの話だが。
だが、それも神の意味ある行為。
神に手渡されたサイコロを男は振った。

to be, not to be

二者択一の答えに、無関心の選択肢。
神の振らないサイコロを
人も振らない。

投票率60%の空白の40%。

男は「我々」を望むが、
「我々」は無限に分割される。
「私」は「君」とは違うのだ。
「君」は無関心か?

首相官邸に明かりはつけない。
闇はすべてを一つにする。
フラッシュ、「彼」、「君」、「私」、カメラ、
迎えに来た黒塗りの高級車。
けれど、フラッシュはブランクだ。
空白の40%。
「我々」には興味がない?

神はサイコロを振らない。
意味のないことはしない。

「私」は0か1か。
高級車に乗り込むと、ビルの光が無数に目に入る。
世界は孤立する。個々の光に分割されている。

to be, not to be

政権交代。温室効果ガス25%減。
天下り禁止。脱ダム宣言。

神の振らないサイコロを、日夜振り続ける
「僕」らは0か1か。
ブランクは吹聴する。
無関心であることは悪にはならない。

神の振らないサイコロを
僕らも振らない。
空白の40%

悪にならない個々が、ビルの光を照らす。
高速道路に連なる連休のブレーキランプ。
多額の給料。水道水。

神の振らないサイコロを人は振る。


自由詩 神の振らないサイコロを人は振る Copyright ブライアン 2009-10-03 01:13:19
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