とあるアジアンカフェからの招待状
あおば

            090927



三味線の爪弾く音が
かすかに聞こえてくる
母様が弾いているのだろう
母様が家を出たら
教えてくれる人が居なくなるので
母様が家にいる間に
しっかり手ほどきして貰いたいと
不遜な気持ちで居るのだが
その不遜の気持ちが
上達の妨げとなっている

岩をも貫く硬い意志と熱い情熱
好きでもなく
嫌いでもなく
なんとなく日を過ごす
気持ちの
欠片も無い子は
困ると思いながらも
面倒なので
夕方の
三味線の稽古をはしょる
自分で弾いた方が音はよいし
楽しいのです
軽やかな
音に誘われて
やってくる人たちは
漂ってくるいい匂いに釣られて
手前のアジアンカフェに入る
薄焦げ茶色の
チャイを一度でも飲んだら
もう逃げられないのです
頷くと
コキンと頸の骨が鳴るので
少し疲れたと思いながら
左手を滑らせて
メロディーを奏でる
名人の手つきを真似た
良い姿です







「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作、タイトルは、はゆさん


自由詩 とあるアジアンカフェからの招待状 Copyright あおば 2009-09-30 23:28:08
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