九月の獣
アオゾラ誤爆

街灯は白んで路地を見下ろす
檻の中で眠るよりも
コンクリートに背を預けて

何度指を切ったか忘れた
さみしくない
かなしくない
別に嬉しくもないが
手を叩く
子供みたいに

空白はいつも透明じゃなくて
機械的な動きで
私の餌が出来上がるのを
ただ見つめるだけの日もあったね

赦しあおうよ

肉の味をつくるのに
必要な経験を
あなたは持っていないから
私の鎖骨のあたりに触れて
ぬるい唾液
意識を断った

笑おうと思えばできたよ
いいわけみたいに生きているから

強弱のない信号が
あなたに下手な嘘を吐かせる
手に取った微熱が
十分なほど浸みこんだら
朝焼けもふやけて
水になった


自由詩 九月の獣 Copyright アオゾラ誤爆 2009-09-20 12:57:32
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