たて長
あおば


                      090904





如雨露の穴を
塞ぎ
声の漏れるのを
止めたのは
昔のことで今は
穴も無くなり
クシ形のスリットになっている
内圧が高まると
スリットの隙間から
勢いよく水は流れ落ち
地面にたどり着く前に
美しい球形になろうとする
穴の開いた如雨露では
集中豪雨が好まれる現代
時代遅れだと
クシ形スリットに着目した君は
功労者だが
誰にも知られずに
グリーン車にも乗れず
青春18切符を握りしめ
マスクをして
たて長にゆっくり揺れている


自由詩 たて長 Copyright あおば 2009-09-04 17:35:19
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