終わり無き最終形
シャッターコーン
私は魚と戦うことにした
人間が進化の完成形なのだとしたら
魚には未知なる可能性が待っている
地球の表面張力から脱出できない私と
やがて月の海に移住する魚の
放物線で交わることの無い戦い
私の腕が翼になるわけもなく
まして皮膚が耐熱壁になるはずもない
向かう先の無い私の細胞分裂は
一定回数に達するのを待たずに滅びていく
その頃魚は尾びれにロケットブースターを装着し
ウロコの一部をセラミックに変え
エラに圧縮酸素を詰め込んで
カウントダウンを始めている
戦う前から圧倒的不利
案の定 私が肺を膨らませている間に
魚は余裕で胸ビレを両翼に変え
私の頭をひょいっと飛び越していった
最終形を見ることができるのは
魚か 私か
すでにそこにはない恒星の
光の残骸だけがその答えを知っている