終わり無き最終形
シャッターコーン

私は魚と戦うことにした

人間が進化の完成形なのだとしたら
魚には未知なる可能性が待っている
地球の表面張力から脱出できない私と
やがて月の海に移住する魚の
放物線で交わることの無い戦い

私の腕が翼になるわけもなく
まして皮膚が耐熱壁になるはずもない
向かう先の無い私の細胞分裂は
一定回数に達するのを待たずに滅びていく
その頃魚は尾びれにロケットブースターを装着し
ウロコの一部をセラミックに変え
エラに圧縮酸素を詰め込んで
カウントダウンを始めている

戦う前から圧倒的不利

案の定 私が肺を膨らませている間に
魚は余裕で胸ビレを両翼に変え
私の頭をひょいっと飛び越していった

最終形を見ることができるのは
魚か 私か
すでにそこにはない恒星の
光の残骸だけがその答えを知っている


自由詩 終わり無き最終形 Copyright シャッターコーン 2004-09-08 22:50:10
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