夏
夏嶋 真子
ゆく雲が
君を求めてのばした蔓から
ふわりと咲いた雪の花びら
彼方を白く染めるものの
ひとつひとつの小ささを
ひとつひとつの儚さを
まるく含んだ湿り気が
花の波に匂いたつ
吹く風が
夕べの君と同じ仕草で
髪を空へと梳き撫でて
戸惑う胸元をくすぐるとき
耳の奥で眠るさなぎが
月は満ちたと囁きかける
紋白蝶と
君の八重歯の
境が溶けて
生まれた夏に
青がこぼれて
青はこぼれて
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夏
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夏嶋 真子
2009-08-08 16:16:01