煮物
千波 一也


煮物の味は
素朴であるけれど
素朴であるがゆえにこそ
むずかしくて
奥深い

ごらんなさい、
たけのこと
さといもと
しいたけと
なんの疑いもなく
一緒くた


わたしは
素朴に生きたいけれど
素朴に生きるということは
言葉でいうほど
たやすくない

あこがれも
とまどいも
いつわりも
どろどろになって
一緒くた


箸をほんのり湿らせる
やさしい光りに
煮物を嗅いで
わたしは
優しく
優しさをはむ








自由詩 煮物 Copyright 千波 一也 2009-07-28 17:29:52縦
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