蒼い刃
高杉芹香


どっちを向いて眠っても

涙がこぼれて来る。




やっと眠りについたと思ったのに

自分の泣き声で目が覚めた。






時間を戻せたら。

出会わなかったことに出来ただろうか。





時間を戻せたら。

愛さずに済んだだろうか。







今。

出来るのは

ただひとつで。




自分にも

誰にも

危害を加えないこと。




刃物を持たないこと。




蒼く光るうちのよく切れる刃物たちが

あたしの名を呼ぶ。




ここにいるよ。

やるなら今だ。











泣きながら神に乞う。




助けて。

助けて。




声に出して泣いていた。





助けて。

助けて。




誰も

あたしも

傷つけないで。


























夏だというのに夜が長い。



朝日はまだ見えない。




散文(批評随筆小説等) 蒼い刃 Copyright 高杉芹香 2009-07-13 01:40:24
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