味について
唖草吃音

見事な二日酔いです。

僕の二日酔いの民間薬は、近所の「あいおい」といううどん屋さんの、おろし生姜たっぷりあんかけうどんです。これを食べればたいていのむかつきは抑えられ、身体は楽になります。ところが今日はそのうどん屋が休みでした。固く閉ざされたシャッターを目の前に、一瞬途方に暮れましたが、それでも仕方なく別のうどん屋へいきました。そして「あんかけうどん」を頼みました。

5分くらいで運ばれてきました。しかし出てきてまずレンゲがないのにショック、あのあつ〜い出汁をレンゲですくってすするのが好いのに・・。鉢を持って落語みたいに直接すするには熱すぎるので、とりあえずうどんを口に入れました。辛い!片栗粉を溶くときに、煮詰めた感がある!くそったれっ!めっちゃ口の中でえぐくなる。もーーーーっ!くそー!くそー!

僕は味に敏感です。でも、好き嫌いはない方で、どんな料理でも美味しく食べる質です。「食通はなんでも美味しく食べることができる、それが本当の食通である。」と常に思っているのになぜ?僕がこんなに文句言ってるかって?そもそも、僕はこの店の親父と肌が合わないんです。おかみさんは好きだけど・・。

味って、こちらから自分の味覚で迎えにいくのと、むこうから自分の味覚に向かってやってくるのと、この両者のバランスにおける出会いだと思います。そしてこの、迎えにいく側と、やってくる側が、出会うための道、これは灰汁が多いほど悪路で、灰汁がとれていると舗装されていて進みやすい。つまり透明感のある料理は、道が良いのでスーッとしてますし、透明感のない料理は、モッチャリしています。僕はどっちも好きです。料理において、高級と中級と低級があるとするなら、それはランクではなく、ジャンルなのだと、僕は考えます。

今日のあんかけうどんだって、煮詰まってても、出汁の中で醤油と砂糖が、まるでカラメルソースみたい♪と想えばよかったのですが・・・。やっぱあの親父は嫌いだ!


散文(批評随筆小説等) 味について Copyright 唖草吃音 2009-07-10 15:51:43
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