漢詩 惜花
三州生桑

惜花

東風颯颯歩黄塵
句句閑吟愁色新
花影連綿湖畔夕
詩人鬱勃故園春
芳枝百囀能迎客
悪酒千言不動人
酩酊弄花花不語
呑声空臥夢花頻


花を惜しむ

東風 颯颯 黄塵を歩す
句句 閑吟すれども愁色新たなり
花影連綿たり 湖畔の夕
詩人鬱勃たり 故園の春
芳枝 百囀 よく客を迎へ
悪酒 千言 人を動かさず
酩酊し花を弄べど花は語らず
声を呑み空しく臥せば 花を夢みること頻りなり


花を愛して

東風がサッと吹き渡り、黄砂が舞ひ散る中を歩きつつ
一句一句詩を口ずさんでも、しかめッ面になるばかり
満開の桜の花は、黄昏の湖のほとりに連なり・・・
こんな田舎の春は、詩人を憂鬱にさせるのだ
枝から枝へと鶯は鳴き渡り、花見客を出迎へてゐるが
悪酔ひした私の繰り言など、誰も聞く耳はもたないさ
酔っぱらって花を手折っても、花は何も応へてくれない
詩人なのに詠ふことなく、むなしく独りでフテ寝すれば
花のやうに美しいあの人の夢ばかり見てしまふ情けなさ・・・








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伝統定型各種 漢詩 惜花 Copyright 三州生桑 2009-03-31 20:19:30
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