「 不良少年、例えばおれが右翼だった頃。 」
PULL.
今まで書こう書こうと思いつつ、一向に書けない「日記(エッセイ?)」のひとつに、「 不良少年、例えばおれが右翼だった頃。 」という身も蓋もない題名のものがある。
今から二十年とちょっと前になる。その頃のおれは精神的にも肉体的にもあまりに未熟で、不安定だった。何もかもが死にたいぐらい嫌で汚くて、世界中のあらゆるものすべてが、敵に見え、息をするごとにその空気をおれが吸う前に吸って汚した誰かを、恨んでいるような奴だった。
毎日死ぬことを考え、毎日誰かを殺すことを考え、毎日毎晩誰かに殺される夢を、見ていた。力が欲しかった。誰にも馬鹿にされない、誰にも負けない、自分以外には、誰からも殺されない、絶対的で神秘的な力が、おれは欲しかった。
そんな時にはまったのが、オカルトであり、その延長線としての民族主義、右翼だった。
ここから先が、どうしても書けないでいる。
書かなくてもいいのかもしれない。
書かなくても今、おれがこうして生きているだけで、この先に書くべきことはすべて、言い尽くしているのかもしれない。
了。