痛い飲み会【随想】
北村 守通
つい先日、渓流釣りの仕掛けの材料を考えるために滅多に出ることの無い街に出かけた。高知は高知城を中心に街並みが展開されていて、その敷地の中に県庁舎やら県立図書館やらがあったりする。さて、そんな高知城のお堀を覗き込みながら釣り糸を垂れたい衝動をぐっとこらえながら歩いていると、なにやら電線を貼り、電球を吊り下げている。これから迎えるであろう花見のシーズンの為の準備だ。そういえば、あちらこちらで大学の卒業式の関係だろうか、着物姿のケバイピチピチギャル達がお互いに写真を撮りあったりしている。入学式、入社式…春はイベントが目白押しだ。
つまり、飲み会のシーズンだったりもする。
ボクは酒が嫌いではない。いや、正確には好きなのであるが量が飲めないのである。だから、よく社内で必要以上に酒を注がれると、その中身を少しずつ観葉植物の栄養にまわしてあげたりしながら難を逃れたりしていた。まぁ、だから幸いなことに記憶を失うまで飲む、という経験はなかったので(ある一定の量を超えると体内に何かを摂取することそのものを拒否する状態になる)失われた時間について後々冷やかされて赤面する、といったシーンに出会わずにすんでいる。最近は酔いのまわりが早い酒(ビールとか)を飲むとすぐに心臓?が痛み出してしまうこともあって、とんとお酒を飲んでいない。ちょっとさびしい限りである。
まぁ、酒の席というのは諸刃の剣であって、酒という麻酔薬を使うことによってお互いが防御壁を脱ぎ捨てていってその中身をちらりちらり見せていく、という場所であるが、それ故に、見てしまったが故に痛い思いをしてしまうこともあったりする。
事故例其の一
とある倉庫の中で、商品のピッキングと出荷作業をメインに働いていたときのこと。ふと知り合った出荷のポジションのリーダーと仲良くなり、飲み会にも参加し始めた。いい職場じゃないか、と思った。最初は…と、いうのもそのリーダー、酒を飲むと途端に暴力的になり、殴り始める。金を貸さなきゃいけなかったこともある。戻ってきたことは無い。金を貸せない、といったらまた怒り出すし、返してくれというとまた怒り出す。飲み会に参加しない、と言ったらそれはそれで怒り出す。ともかく、酒が入ると痛い想いをしてきたし不用意にコイツの飲み会に参加するんじゃぁなかった、と後悔するが後の祭り。
最終的には…辞めましたよ。その職場。金は結局返ってこなかったけれど。
事故例其の二
スーパーの常駐警備員をしていた時代。仲良くなっていたテナントの職員のお一人が定年になって去ることに。何故かボク等と飲みたい、と言ってくだすっていつもお世話になってたし…と全員参加。酒を飲んで楽しく会話しながら『いや〜色々と心配してくれていたんだなぁ〜』と、こんな人と知り合えてよかったと思いながらトイレへ…用を済ませてさぁ席に戻ろうとしたら、むんずと頭を掴まれそのまま唇奪われた。そう、その人はその定年退職のおっさん!多分、ボクの容姿からしてシャレなんだとは思うけど…シャレになってなかったなぁ…
いやいや…酒は人間を変えます。いつも酔っ払っている人だと、安心ですけどね。まぁ結局なんですよ、同じ職場で働いている人、隣で一緒にお話をしている人、そんな人やなんかでも見えているのはホンの一部でしかなくってその中にはシャレにならない要素だっていっぱいある、というわけなんですよね。酒が触媒となって表面化することは多いのですが、別に酒が加わらなくとも表面化することも少なくありません。これ、しかもリアルに生活している場所ですら、なんですよ。
増してやネットの世界のボクタチ。果たして文字を通して見ている北村は、本当に北村なんでしょうか?もしかするとこんなこと書いてきていますけれども北村というヤツは酒が入らなくても暴力的でヤバスなヤツかもしれません。(ただ、幸いなことにボクはこのフォーラムで知り合った人達との縁が続いて、多分幸せな人生に繋がっていると思う。変な事故や事件に巻き込まれることもなかったですしね。)
そこな辺はね。ドーゾ注意しておいて欲しいわけですよ。
まぁ、これからですね。飲み会のシーズンが増えていきます。イベントも増えて様々な出会いも待ち受けているでしょう。でも、それだけ幾つもの落とし穴と接触する機会も増えている、ということを是非頭のどこか片隅にでも置いておいていただけたらなぁ、と思ったりしています。
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