四度見の淀み
物語重力

相変わらず恋の詩しか書けないぼくだった。
きみは、相変わらず誰かの死を願っていた。
なんだか切ない、
風景は綺麗だ、
ルーレットは廻る、
ふいふいふ♪と口笛を吹く。

なんとなくですべてを誤魔化してしまうぼくだった。
何かしらの嘘でも実現しないと気がすまない君がいた。
いつもは違う、
でっかい船に乗る、
ため息ばかりつく、
家出の猫とばったり出くわす。

きみと手を繋げば、
それだけでぼくは十分で、
あんまりなくたって、楽しい想い出が、
そこはかとなく、いたってつとめて冷静に、
だけどもなおかつ油断はしない、
ことほどさように一方で、
生まれたばかりの枯れ木が浮かぶ、
紡いで解く、言葉の数々、
うにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃう、
屋上で昼寝、
下手なフルート吹く。

ぼくが、自由な詩を書けないのは、
きみが、自由な死を選ばないせい、
ぼくは、そんな君が好きだから、
今日も言葉を紡ぎ続ける。


自由詩 四度見の淀み Copyright 物語重力 2009-03-16 22:51:29
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